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昨夕、新宿御苑近隣をうろうろしていると、突然、大きな音がする。この蒸し暑さだから、いよいよ来たか、ざんざん降りにならないうちに、とっとと退散しようと身構えていると、どうも様子が違う。
あの音は雷ぢゃあないぞ。
あぁ、そうか。
どうりで今夜は浴衣が多い筈だよ。神宮外苑の花火大会ぢゃあないか。
首を延ばして辺りを見回しても、高いビルに囲まれているから、さすがにその華麗な夜空は拝めない。
諦めて、靖国通りから明治通りに入ると、今度は別の「雷鳴」がする。
映像を喚起する音というものがあります。普段、見なれた景色であっても、その音が聴こえると、状況が一変する様な音が。
自宅のそばには消防署があるので、時折、けたたましいサイレンの音がします。さすがにもう随分と慣れましたが、それでも一瞬、どきりとするのは否定出来ません。
最近は、このブログの連載用に、カメラ付携帯でへんてこりんな写真を撮っているせいか、日常的にフォトジェニックな映像に飢えている様です。さぁ、携帯持ってサイレンの音を撮らなくちゃぁ!
でも、一瞬、立ち止まって考えます。僕の欲しい映像は、消防車や救急車や事故現場や火災現場ぢゃあなくて、今、見慣れた雑然とした部屋の中や、窓から観える街並みが、あの一瞬の音で、日常が全く異なったものに見えた瞬間なのだと。
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