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傘ひとり くちずさまるる なごり雪 滲みて観ゆる 紅の華
<読み>
かさひとり くちずさまるる なごりゆき にじみてみゆる くれないのはな
<意味>
傘をひとりでさしていると、『なごり雪』が自然とくちづさまれてしまった。 紅に咲く花も滲んで観えてしまう。
<解説>
第三句に出る『なごり雪』は、、作詞作曲:伊勢正三、歌唱:イルカによる1975年のヒット曲。冬から春へと季節が移る今の時季の別れを唄ったもの [と、敢て書くのも蛇足 (Make An Unnecessary Addition) に想えてしまう程、ヒトの口に介されている曲なのだが]。
それを想い出してしまう叙景。きっと、結句の「紅い花」は椿 (Camellia) だろう。
「暑さ寒さも彼岸迄 (Neither Heat Nor Cold Lasts Beyond The Equinox Day)」とは言うが、今日一日は寒い雨の日となった。桜は開花したが、まだ、冬の足踏みは聴こえる。
第二句の「るる」は自発の助動詞「る」の連体形、第四句の「観ゆる」は、動詞「観る」 + 自発の助動詞「ゆ」の連体形。いずれも「自然と〜してしまう」「〜せずにはおれない」と訳す。