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蝉なきて ここだけ夏の ありどころ 母子さへみえね 木漏れ陽の下
<読み>
せみなきて ここだけなつの ありどころ おやこさえみえね こもれびのした
<意味>
蝉がないていて、ここだけに夏がある様だ。木漏れ陽の下には母子さえもみえないのだけれども。
<解説>
はっきりしない天気が続いている。しかも、先月のあの猛暑はどこへいったのだろうかと思える程に、涼しい。そして突然に激しい雨が降る。
蝉の声はするが、夏休みの筈の子供達の姿も声も聴こえない。それはたった今あがったばかりの雨のせいなのか、家族揃って帰省や行楽に出向いているのか、それとも、全く別の理由か。
上句の「〜のありどころ」は与謝蕪村 (Yosa Buson) の『凧 きのふの空の ありどころ (A kite floats / At the place in the sky / Where it floated yesterday.)』をふと憶い出してしまうけれども、本歌取という程の技巧でもないだろう。
結句の「すら」は副助詞で、「〜さえ」と訳す。