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誘ふは 謎解く前の くちづけか 床に堕ちたる 読み止しの乱歩
<読み>
いざなうは なぞとくまえの くちづけか とこにおちたる よみさしのらんぽ
<意味>
解釈その一:
謎解きを読む前にくちづけをして誘惑しようという魂胆か、読みかけの乱歩の『陰獣』が床に堕ちている。
解釈その二:
探偵は謎を解く前に [美女を] 誘惑しようというのか、床に堕ちているその乱歩の『陰獣』の中では。
<解説>
『陰獣<画像:>』は、江戸川乱歩 (Edogawa Rampo) の数ある長編小説の中でも、一二を争う傑作のひとつ。1928年発表の作品である。設けられた謎はさることながら、その渦中の人物達の濃密な愛欲の描写が、読むべきところとなっている。
短歌は、その小説を読んでいる自身を詠んだ歌とも、小説の中で描かれている情景を詠んだ歌とも解釈が可能な様だ。なので、試みにふたつの解釈をあげてみた。
読書の秋、とは気の早い話かもしれないが、日中はともかく、夜半ともなれば大分涼しくなっている今日この頃ではある。