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不意に今朝 掴まるるは 両の肩 うしろから聴く 耳許のこえ
<読み>
ふいにけさ つかまるるは りょうのかた うしろからきく みみもとのこえ
<意味>
不意に今朝、掴まれた両肩の後ろから聴くのは、耳許で囁かれている声である。
<解説>
<意味>として口語訳をいつもの様に掲載したけど、その結果、いろいろなものが喪われてしまう様な気がする。身も蓋もない訳だ。
と、言うのは、掴まれた両肩が感ずる感触とか、耳許で聴くことばの響きとか、その結果として感ずる相手の体温や吐息といった、視覚以外の感覚が盛り込まれているからなのだ。
それに第一、それ以前に、すれ違い様での出来事と詞書にあるけれども、それを許すのには相当に親密な関係でなければ出来ない筈である。
きっと、語られた言葉のその内容よりも、ふたりの近さの方が、作者にとっては、心地よく響いたのに違いない。