皐月ノ怪ヲ詠メル[040)るいの歌集(仮)]
(2012-05-17 23:35:34) by =oyo=


<画像:20120517_1608~01.jpg>
夏の声 みうしなひしかや きみの影 躊躇はらるる うしろの正面

るい詠める

<読み>
なつのこえ みうしないしかや きみのかげ ためらわらるる うしろのしょうめん

<意味>
夏の声が聴こえて、あなたの影を見失う [それともあなたの身が喪われたのだろうか]。思わず躊躇ってしまうのは、うしろの正面 [を振り返る事] である。

<解説>
第2句「みうしなう」は「見失う」と「身、喪う」の掛詞。両方の意味を持たせてひとつの解釈をするのには無理があるけれども、無理矢理やると上の様になる。と、言うか、「見失う」という言葉自体にも、物理的に「きみ」の行方が解らないという解釈と心情的に「きみ」のこころの有り様が解らないという解釈、両義がある訳だから、そもそもがそのどちらに加担して解釈する事も可能なのである。
第4句「らるる」は自発の助動詞「らる」連体形。「自然と〜してしまう」「思わず〜してしまう」と訳す。
それよりも難問なのは、何故、連体形なのか、と言う事。結句の「正面」にかかるから連体形であるという解釈と第2句の係助詞「や」と呼応しての係り結びを成立させているという解釈、このふたつが可能である 。係助詞「や」は已然形に接続して詠嘆の意を顕わすから、過去の助動詞「き」も已然形「しか」を採っている。
なお、上の<意味>では、前者に依っているが、後者の解釈では、もう少し"怖い"<意味>を持たせる事が出来そうである。
うしろのしょうめん、たあれ

(この項:たい)


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