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ごうと鳴る 街の撓みに 封ぜられ 乱るる風に 髪を食む吾
<読み>
ごうとなる まちのたわみに ほうぜられ みだるるかぜに かみをはむわれ
<意味>
[街並が撓んでしまうかの様な] ごうと鳴る [程の強風の] 中で、街の撓みに閉じ込められたわたしは、風に乱れる自身の髪が [口許にあたって] 食べてしまいそうである。
<解説>
風になびく黒髪が、その女性の口許にあたっているのを観ていると、あたかもその髪をくわえている様にも噛んでいる様にも観える。
その一方で、思わぬ強風に吹き当てられると、それが自身の視界を揺らがせて、目眩とか立ちくらみと言うと大袈裟だけれども、一瞬、平衡感覚を奪われる場合がある。
そんなふたつの体験を組み合わせてできた様な歌。
風吹く街に閉じ込められて、己の髪を喰うしかない、そんな閉塞感を詠んだ歌。