< ページ移動: 1 2 >
<画像:20121213_1618~01.jpg>
夕の化粧 鏡に映ゆる 灰かぶり 流行の眉の弧 描きてはみても
<読み>
ゆうのけわい かがみにはゆる はいかぶり はやりのまゆのこ えがきてはみても
<意味>
夕べの化粧には、鏡に映っているのは、灰かぶり姫である。流行の眉のかたちを描いてみたとしても。
<解説>
第3句「灰かぶり」は、言うまでもなく、サンドリヨン / アッシェンプッテル (Cendrillon / Aschenputtel) の謂いであって、つまりは、シャルル・ペロー (Charles Perrault) の『ペロー童話集 (Les Contes de ma mere l'Oye)』やヤーコプとヴィルヘルムのグリム兄弟 (Jacob und Wilhelm Grimm, genannt die Bruder Grimm) の『グリム童話 (Grimms Marchen)』でのシンデレラ姫 (Cinderella) の事である。
この時季ならば、夕方に行う化粧というのは、アフター・ファイブの、忘年会やらクリスマス・パーティーやらなんやらの様々な催しに向かう為に、するべきものであるのだろう。だが、作者は己自身をサンドリヨン / アッシェンプッテル (Cendrillon / Aschenputtel) に、なぞらえて、それらとは一切、無縁の己を詠う。試みに、最近、流行の眉を描いても、それを観せる / 魅せる相手がいない。
< ページ移動: 1 2 >