水泉動ヲ詠メル[040)るいの歌集(仮)]
(2013-01-10 18:27:26) by =oyo=


<画像:20130110.jpg>
明かぬ夜に 東風待つきみは 知らずとも 咲く花たらむと 吾は紅さす

るい詠める

<読み>
あかぬよに こちまつきみは しらずとも さくはなたらむと われはべにさす

<意味>
明けない夜に [春を告げる] 東風を待っているあなたは気がつかないかもしれないが、咲く花であろうと、わたしは [唇に] 紅をさしています。

<解説>
詞書にある水泉動は、七十二候の第68候であって、「しみずあたたかをふくむ」と読む。今年で言えば今日、1月10日にあたる。
二十四節季で言えば、今日は小寒。まだまだ寒い時季であってこれからさらに厳しくなる時季ではあるが、暦の上では既に、地深く春が胎動していると、告げているのである。
そして、第2句の「東風」とは言うまでもなく、菅原道真のあの歌『東風吹かばにほひをこせよ梅の花 主なしとて春を忘るな』を指していて、技巧上では、本歌取りである。
菅原道真の歌では、政局に破れ、太宰府へと左遷される己の寂しさを詠んでいるが、失意の彼が忘れてしまっている恋を、ここでは詠っているのだ。
初句「明かぬ夜」は、永い冬の夜の比喩ではあろうが、第2句と連動させて、先行き不安な、今の時勢を示しているとも解釈出来る。

(この項:たい)


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