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寝息の音 きみ慈しまむや 閨房のふち 明かむ夜知りて 独り遊ぶる
<読み>
ねいきのね きみいつくしまむや ねやのふち あかむよしりて ひとりすさぶる
<意味>
寝息の音をたてているあなたを慈しもうと寝室のはずれに佇んでいる。もうすぐ夜が明けると気づいて、ひとりで慰める事にした。
<解説>
詠われている内容と、そこでの描写、そしてそれに込められている内心については触れないけれども、その外には、季節の移り変わりが描かれている様だ。
冬の永い夜を恋人と過ごせると思いきや、もうまもなく夜が明けてしまう。その驚きが言外にある。
第2句と第4句にある助動詞「む」は、いずれも未然形につくが、前者は意思の意で、後者は推量の意と解釈した [「夜」を擬人化させたと看做して意思の意という解釈もあり得るのだけれども]。
詞書の「鶏始乳」は" にわとりはじめてとやにつく"と読んで、七十二候の最期の候、この候が果てれば節分会を経て立春を迎える。春はもうまもなくなのだ。