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根の這ひて 吾が身蝕む その花も 胎より生ず 吾が児ならずや
<読み>
ねのはいて わがみむしばむ そのはなも はらよりしょうず わがこならずや
<意味>
根が [わたしの体内を] 這い回りわたしの身体を蝕むその植物も、わたしの胎内から産まれるわが子ではないだろうか。
<解説>
詞書にある冬虫夏草 (Ophiocordyceps Sinensis) とは、菌類 (Fungus) の一種であり、昆虫やその幼虫に寄生し、冬の間その宿主の養分を吸収しながら生育し、暖かい季節が到来すると発芽する。ある意味では字の如しであるが、厳密に言えば、菌類 (Fungus) は植物ではないから、"草"という字は、実は相応しくない。
この歌では、冬虫夏草 (Ophiocordyceps Sinensis) に寄生された蟲に、己を仮託して詠んでいるのだけれども、では、産まれ生ずる「吾が子」とは、何の謂いなのだろうか。