<画像>
群成して 西へと向かふ 鰯雲 その海の底 君を待つ我
<読み>
むれなして にしへとむかう いわしくも そのうみのそこ きみをまつわれ
<意味>
まるで本物の鰯が群なして泳いでいるかの様に、鰯雲が西へと流れている。その海の底の様な空の下、わたしは恋人が来るのを待っている。
<解説>
大きなイメージが広がる歌である。鰯雲を魚の鰯に、空を海と比喩する発想はやや安直だが、青と白のイメージのコントラストが美しい。その「空の下」=「海の底」で、恋人を待つ作者の心情はいかなるものか、具体的には語られてはいない。読者個々人の自由な解釈に委ねられている。