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前髪に あてた鋏の 震へしを 鈍く光りて 笑み零るる
<読み>
まえがみに あてたはさみの ふるえしを にぶくひかりて えみこぼるる
<意味>
前髪 [を切ろうと] あてた鋏が震えていて、その刃先が鈍く光っているのをみて、笑みがふとこぼれてしまった。
<解説>
夏の間に伸びた髪を、自身の手で手入れをしようたのだろう。そうしたら、手許が震えているのが解り、その震えている原因を自身の視野の内に見出そうとしていたら、それは他でもない、自身の内心にあった、という事になるのだろうか。
鈍く光るその刃先は、本来ならば、どこへ向かうべきなのか、と、ふと立ち止まったその瞬間に、魔が差す場合もある。
この時季、夏の暑さの疲れが一挙に吹き出す時でもあり、しかも、それは必ずしも肉体だけではない。