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パイプ椅子 ピアノしわぶき スカートの皺 丸筒濡れて 釦ひとつ掌
<読み>
ぱいぷいす ぴあのしわぶき すかーとのしわ まるつつぬれて ぼたんひとつて
<意味>
パイプ椅子の座り心地、ピアノの演奏が始まると咳の聲がする。長時間座りっぱなしだから、スカートに皺もよる。卒業証書を収めた丸筒は濡れているが、わたしの掌には第2ボタン。
<解説>
卒業式のシーズンである。この句は、その卒業式にみられる光景の幾つかに焦点を充てたモノで、ひとつひとつが象徴しているモノに、なんらかの脈絡はあるのかと謂うと、それを捜し当てるのが、この歌を読む醍醐味になるのだろう。だから、上に書いた<意味>は、その中のほんの一例でしかなく、解釈の仕様によっては、いくらでも、自由な読み方が可能な気がする。
ところで、この春に卒業を迎える中高生は、3年前の3.11.の年に入学した事になるのだろうか。多感な時季をたまたま、この震災以降の最初の3年間を過ごした事になるわけだ [だからと謂って、こんなところでさも、解った様な顔をして訓示なぞするつもりはないのだが]。
ご卒業おめでとうございます。