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うすやみに ゆびの憶ゆる きみが肌理 夕になりても 朝になりても
<読み>
うすやみに ゆびのおぼゆる きみがきめ ゆうになりても あさになりても
<意味>
薄闇の中で指が憶えているのはあなたの肌合いである。夕方がきても朝がきても。
<解説>
解った様で、よく解らない歌。情景が、初句の「うすやみ」の中の様に、ぼんやりとしたままなのである。
恐らく、この歌に登場する「きみ」と過ごした時間は、随分と昔の事で、記憶も定かではないのだろう。もしかしたらもう、顔も名前も忘れてしまっているのかもしれない。にも関わらずに、指先に遺った感触だけが鮮明なのだ。
そんな歌なのであろう。
そして、その感触を憶いださせるのが、その時にともに過ごした「うすやみ」の中なのだろう。
この時季、天候がはっきりしない場合は特に、時計が指し示す時間だけでは、今が朝なのか夕なのか、覚束ない。下の句は、そんな事を踏まえてなのかもしれない。