< ページ移動: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 >
<画像>
まずは、この奇妙なアルバム・ジャケットの話から。
デザインを担当したのは、かのヒプノシス(HIPGNOSIS)。
そのデザイン・コンセプトや制作過程などは、今や絶版になって入手困難となっている『アートワーク・オブ・ヒプノシス(原題:THE WORK OF HIPGNOSIS 'WALK AWAYRENE')』で、ヒプノシス(HIPGNOSIS)自らが語ってる。
イギリスのどこか、波止場が見はらせるレストランの様な場所で、英国中産階級を代表する様な家族4人が白いテーブルの上で囲んでいるのは、美味しそうなディナーではなくて、得体の知れない黒いオブジェ。
ジャケットを裏返すと似た様な光景が眼に飛び込んでくる。
出来の悪い男子生徒と彼を心配げに佇む幼馴染みの様な少女(ものの見事なブロンド<画像:>の縦ロール)と、その男子生徒を慈しむかの様な中年の女性教師、その三人が囲んでいる教壇のテーブルにはやはり、漆黒の謎のオブジェ。
そしてさらにダブル・ジャケットを開くと...。
50年代〜60年代を思わせるノスタルジックな光景(つまりは過去:past)に、未来(=future)的なイメーの異物がいずれも存在(=presence)する。
例えて言えば映画『2001年宇宙の旅』の愛すべき狂言廻し、モノリスの様なイメージがそこにある。
しかも、ヒプノシス(HIPGNOSIS)自身の解説に寄れば、それは存在(=presence)と名付けられたオブジェが実は不在(=absence)の象徴でもあるという暗喩でもあるそうだ。
だがしかし、この黒い物体は過去(=past)と未来(=future)を斬り結ぶ現在(=present)と誤読する事もまた可能なのだ。
と、ちょっと某評論家の論調を真似てみたところで、本論はちょいと昔話、つまり過去(=past)の話から始まります。
THE WORK OF HIPGNOSIS 'WALK AWAY RENE'
アートワーク・オブ・ヒプノシス
ヒプノシス &ジョージ・ハーディ(GEORGE HARDIE) 編著
奥田佑士 訳
< ページ移動: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 >