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長編の 一冊離れて そこにあり その背の憮然は 寂しくはないと
<読み>
ちょうへんの いっさつはなれて そこにあり そのせのぶぜんは さみしくはないと
<意味>
長編が一冊だけ離れてそこにあるその背表紙の憮然さは寂しくはないと [告げているようだ]。
<解説>
詞書から想像するに、掃除をし終えた段になって、本棚 [きっとそこも掃除したのだろう] を観てみると、一冊だけ長編小説が離れた位置にあったのだ。その長編小説はもしかすると前後編か上中下か、何分冊となったモノなのかもしれない。
恐らく、作者は正しい位置に直そうとおもった瞬間を詠んだのだろう。
第4句「憮然と」と結句「寂しくはない」は、字義通りに捉えてもいいし、強がりめいたモノと捉えてもいいだろう。
果たして、その長編小説はあるべき位置へと戻れたのであろうか。