闇ノ中ニテ詠メル[040)るいの歌集(仮)]
(2015-05-28 17:13:20) by =oyo=


<画像:20150528.jpg>
知らぬひとと 怯えてみゆる きみの影 触れるその掌は だれかに似たり

るい詠める

<読み>
しらぬひとと おびえてみゆる きみのかげ ふれるそのては だれかににたり

<意味>
見知らない人と怯えてみえてしまうあなたの影 [わたしの肌に] 触れているその掌は誰かに似ている。

<解説>
おのれの身近な人物が、なにか得体のしれないモノと入れ替わってしまっていると謂う設定は、ホラーやミステリーやサイエンス・フィクションの常道のひとつではあるのだけれども、実際に入れ替わってしまっている場合の物語も多くあれば、その逆の場合の物語も実は多い。しかも後者の場合は、その人物への信頼がなんらかの理由で徐々に薄れてきてしまう場合もあれば、自身の精神的な変調の結果にそんな認識へと至らしむる場合もあるだろう。そして、そんな後者の物語はぼく達の実生活に於いて、決して起こり得ない物語ではない。
この歌の不思議なところは、自身のよく知っている人物である「きみ」を、初句で「知らぬひと」と謂いながら、結句に於いて「だれかに似たり」と表出している点だ。恐らく、現在感じている「きみ」への違和は、かつて別の人物に対して感じた様な違和と同じ様なモノなのに違いない。つまり、かつての「だれか」に対してなされた所業をあたかも彷彿とさせる様な「きみ」の行為なのだろう。
そして恐らく、ここで謂う「だれか」とは「きみ」も知見のある人物であって、暗に [否、あからさまに] 「きみ」もその「だれか」と同列であると難じているのであろう。

(この項:たい)


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