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吹き抜けに 正時響きて のちに聴く 中途半端に ちひさいあき
<読み>
ふきぬけに しょうじひびきて のちにきく ちゅうとはんぱに ちいさいあき
<意味>
吹き抜けに正時を告げる時報が響いてその後に聴くのは、中途半端な音量の『小さい秋みつけた』である。
<解説>
情景的には、待ち合わせの約束の時間を告げる鐘が、待ち合わせ場所であるビルの吹き抜けに響いた後に、童謡『ちいさい秋みつけた (Small Autumn I See)』 [作詞:サトウハチロー (Hachiro Sato) 作曲:中田喜直 (Yoshinao Nakada) 1955年発表] が聴こえたが、その音量が時報の音量と比べると中途半端なモノに聴こえる、となるのであろうか。
ただ、結句にある「あき」は他の多くの短歌がそうである様に、"秋"と"飽き"の掛詞である可能性が高いから、それを踏まえると、実際にその童謡がその周縁で奏でられたのかどうか疑わしい。
心象風景ととらえられなくもない。
つまり、時間になっても顕われない待ち人に対して、待つ事の"飽き"がきたのでもあろうし、と同時にその人物に対する関心や興味も"飽き"が訪れた、と。
ただその場合、第4句「中途半端に」を勘案すれば、非常に微妙なモノ、なのであろう。