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ゆく年の ゆくへ追ふまも あらばこそ 蕎麦のとなりに 柚子胡椒
<読み>
ゆくとしの ゆくえおうまも あらばこそ そばのとなりに ゆずこしょう
<意味>
ゆく年の行方を追う時間があるのならば、蕎麦の隣に柚子胡椒 [を添えて出す筈だ]。
<解説>
上句の「ゆく年の ゆくへ追ふま」と謂うのは、上の<意味>ではそのまま流用したが、意味合いとしては、この1年間を回顧するその為の時間と謂う様な意味合いなのだろう。
第3句「あらばこそ」は、文法的にはラ変動詞「あり」未然形 + 順接の仮定条件を表す接続助詞「ば」 + 係助詞「こそ」で、反語の用法と打消のふたつがある。前者は"もしあるならば〜だろうが [実際はない]"、後者は"あろう筈がない"と、それぞれ訳す。この場合、どちらでも意味上は成立しそうだが、ここでは前者に解してみた。
猶、係助詞「こそ」は係結びの法則によって、文末は已然形を伴うから、仮にこの歌の省略されている用言を補えば"あるべけれ"とでもなるだろう。文法的には、ラ変動詞「あり」終止形 + 当然の助動詞「べし」已然形となる。
と、謂う訳で、喰い意地のはった様なこの歌で今年もおしまい。皆様、よいお年を。