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てすさびの 筆も硯も なき枕 待てど望めど 名ばかりの春
<読み>
てすさびの ふでもすずりも なきまくら まてどのぞめど なばかりのはる
<意味>
手慰みにするための筆も硯もない枕頭で、待っても望んでも [寒いばかりで] 名ばかりの春である。
<解説>
暦の上では春なのにまだまだ寒い。否、むしろ、春になってから以降の方が寒いばかりだ。そんな時季の歌である。
第3句「なき枕」は、第2句を受けての"[筆も硯も] ない"と、泣き枕を掛けた掛詞。
それを踏まえて読み直してみれば、結句にある「春」は、必ずしも季節の事だけではないとも解釈できる。