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夢うつつ 甘酒しんじょと こだませり 溢るる泪と 滲む墨のゑ
<読み>
ゆめうつつ あまざけしんじょと こだませり あふるるなみだと にじむすみのえ
<意味>
夢とも現実とも区別がつかない中で「甘酒進じょ」とこだましている。溢れる涙と水墨画が滲む様だ。
<解説>
初句「夢うつつ」とは、夢なのか現実なのか定かでない情景もしくはそんな自身の精神状態。
第2句「甘酒しんじょ」とは、足もおぼつかない子供をこちらに呼ぶ際の囃し言葉"此処までお出で甘酒進じょ (Come Here And Let You Drink Amazake)"の一部。この部分だけでは甘酒 (Amazake) を献上しようと謂う意味になる。甘酒 (Amazake) は勿論、詞書にある「雛祭 (Hinamatsuri : Girls' Day)」にはなくてはならない呑み物だ。
この辺を踏まえて読むと、幼児時代の思い出かなにかなのかなぁと思って解読していくと結句で混迷してしまう。
下句全体では、涙が溢れて眼の前がよくみえないと解釈は可能なのだが、"すみのえ"は実際にある住ノ江 (Suminoe) や住之江 (Suminoe) にも該当するからその掛詞なのだろうか、と。
仮に作者がかつて、その地域に棲んでいたとしたら、とも思えるし、"すみのえ"は棲みの家にも通じるのだ。
考えすぎなのだろうか。