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衿足を つたふしづくは おとついに きみの画ひた 弧にも似て
<読み>
えりあしを つたうしずくは おとついに きみのえがいた こにもにて
<意味>
衿足を伝って流れる雫 [の跡] は一昨日にあなたが描いた曲線にも似ている。
<解説>
すうっと読んでしまえば何でもない歌なのだが、あらためてそこで詠われている内容を吟味してみると、いくらでも様々な解釈が可能なのだ。
結句の「弧」は上の<意味>では曲線つまり円弧の一部と解したが、それとは別に孤独と解する事も不可能ではない。
さらに穿った読みをしてしまえば、「弧」を子ないしは児もしくは仔との掛詞とする事も全く不可能ではない。
上句の「衿足を つたふしづくは」は詞書に従えば、入浴中に流れる汗乃至は湯の事ではあるのだろうが、そこに顕されている筈の情感をどういう風に下句に結びつけて解釈するのかが、問題なのだ。
単純に考えれば、一昨日に「きみ」が描いたのはここで詠われている「衿足」そのものかもしれないのではあるが。