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並木みち まぼろしみたか 墨のゑの 傘をひらかば そこにひとひら
<読み>
なみきみち まぼろしみたか すみのえの かさをひらかば そこにひとひら
<意味>
並木道に水墨画のまぼろしをみたのだろうか、傘を開くとそこに一片 [の花びらがある]。
<解説>
桜は開花したらしいが寒い。雨も降って、底冷えがする。と、謂うよりも、その前の数日間が暖かすぎたと理解すべきだろうか。天気予報は呑気にも、花の見頃が延びるとかほざいている。
第3句「墨のゑ」は、通常は、"住之江 (Suminoe)"乃至は"住ノ江 (Suminoe)"と"墨の衣 (Cloth In Ink)"即ち僧服乃至はそれを着ている僧その人との掛詞を成立させるのだが、この歌では果たしてどうか。上の<意味>では"墨の絵"と解してみた。つまり、天候の叙景を詠んだモノと理解したのである。
仮に、"墨の衣 (Cloth In Ink)"即ち僧服乃至はそれを着ている僧その人と謂う解釈が成立するのならば、個人的には西行 (Saigyo) を連想させられる。謂うまでもなく、桜の名歌を幾つも詠んだ歌人である。