<画像:>
ながき夜に 舟漕ぎ出づる きみの息 あかつきまちて おかに吾をり
<読み>
ながきよに ふねこぎいづる きみのいき あかつきまちて おかにわれおり
<意味>
[秋の] 夜長に舟を漕ぎ出しているあなたの寝息 [その一方で] 夜明けを待って陸上にわたしは止まっている。
<解説>
恋人と一夜を共にしてはいるが、その肝心の人物はすでに眠りこけている。第2句「舟漕ぎ出づる」はその比喩だ。おそらく、おおきな寝息なのだろう。
こういう場合は大概、その寝息につられて睡魔に襲われるか、さもなければ、その寝息が耳について眠れない。この歌は後者だ。
だったら、寝ているその人物を起こすのも手ではあるが、それを妨げるナニカがきっとあるのだろう。
それを邪推し始めたら、こちらもきっと眠れなくなる。