<画像:>
ひとの波の 澱みのきはで 待ちをりて おのれのさちの うすしとおぼゆ
<読み>
ひとのなみの よどみのきわで まちおりて おのれのさちの うすしとおぼゆ
<意味>
人波が澱んでいる端で待っていると、自身の幸が薄いと思われる。
<解説>
年が明けたばかりなのに嫌に暗い歌だなぁと思う。でも、雑踏の中でふと自身の境遇に感じ入る事はよくある事だ。新たな年だからこそ、来し方行く末に想いを馳せると謂う事もあるのだろう [と、自身の述べたばかりの見解を掌を翻してしまう]。
詞書の「行人」は"こうじん"と読んで、通行人の意。これを"ぎょうにん"と読んでしまうと修行僧の意になってしまう。ちなみに夏目漱石 (Natsume Soseki) が1912年に発表した小説『行人 (The Wayfarer)』の読みは前者だ。