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蛇口から 迸るのさへ 春めきて 流しにさす陽に ぬるむみづの音
<読み>
じゃぐちから ほとばしるのさえ はるめきて ながしにさすひに ぬるむみずのね
<意味>
蛇口から迸る水さえ春めいていて、台所にさす陽射しにぬるむ水の音 [が響く]。
<解説>
第2句「さへ」は添加の副助詞。"〜までも"、"その上〜まで"と訳す。この場合、人工的な水道水が「春めき」としているところから言外に、川や湖畔の自然の中の水も春めいている事を暗に指摘している。
第4句「陽」は、敢えて言えば、"日"と"陽"の掛詞なのだろう。
「陽」と謂う視覚への刺激があって「音」と謂う聴覚への刺激がある。そして「蛇口から迸る」水を「春めき」と評しているからきっと、作者の掌はその水に触れているのだろう。つまり触覚への刺激もある。