肌寒イ朝ニ詠メル[040)るいの歌集(仮)]
(2017-11-09 17:18:09) by =oyo=


<画像:20171109.jpg>
すりあはす 掌と掌のあいだに わだかまる おのれのこころの あさましきゆへ

るい詠める

<読み>
すりあわす てとてのあいだに わだかまる おのれのこころの あさましきゆえ

<意味>
[寒くて] 擦り合わせている両掌の間にわだかまっているのは、わたしのこころが情けないからだ。

<解説>
秋の早朝、既に出勤の途上なのだろうか、それとも、朝餉の準備なのだろうか、寒さで冷えた両掌を擦り合わせて、ささやかな暖をとる。この時季、そしてこれから来る季節に、誰にでもよくある挙動だ。
だけれども、その際の身体の姿勢は身を屈めていて、少し卑屈なモノにも感じる。また、暖をとるには、それ以外の方法がない訳ではない。貧乏くささが感じられない訳ではない。
そこから沸き起こる、自己へのささやかな拒否感、嫌悪感を詠んだ歌なのだろう。
但し、ここで注意すべきは結句「あさましき」である。形容詞シク活用連体形のこれは、現代文に於ける"あさましい"とは少し、意味が違う [こちら等を参照の事]。ここでは最も無難な表現に解したが、もっと相応しいモノがあるのかもしれない。

(この項:たい)


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