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そのひにも ビルの谷間に 逆光は 吹き溜まりに 聖母よぶこゑ
<読み>
そのひにも びるのたにまに ぎゃっこうは ふきだまりに せいぼよぶこえ
<意味>
そんな日であってもビルの谷間にさす逆光は、 [冬の風の] 吹き溜まりに聖母を呼ぶ声である。
<解説>
初句「そのひにも」の解釈に迷う。"その日にも"とも"その火"とも"その陽"とも読めてしまうからだ。だからと謂ってそれらの掛詞であると解して、そのみっつの意味を総て盛り込んだかたちで解釈するのも難儀なのだ。
"その日にも"はそんな日であってもと解されようし、"その火"は寒い朝に暖をとるための焚き火にも困窮者を支援する為の炊き出しの火にも解されようし、"その陽"はここで逆光となしてさしている朝陽にも解される。いずれを選んでも、師走の叙景、しかも世知辛い世の中に投げかけられた救いを想起させられる。
それを踏まえての結句「聖母」なのだろうか。