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きみと吾 逢ふも別るも みちのうへ きのふの雪も 夢なつかしき
<読み>
きみとわれ あうもわかるも みちのうえ きのうのゆきも ゆめなつかしき
<意味>
あなたとわたしが出逢ったのも別れたのも途上にある。昨日の雪も夢の様になつかしい [ものである]。
<解説>
1936年の二・二六事件 (February 26 Incident) が大雪の最中に起きた事件だから、春まじかとは謂え、その時季までは雪も降るものなのだなぁと謂う認識でいたら、それを大きく覆す様な、昨日の雪である。流石に積雪とはならなかった様だが、その数日前の暖かさとあいまって、相当に寒く感じられた。
と、綴りながら上の歌の意味を考えているのだが、考えられるのはふたつの事である。ひとつは達観もしくは諦念と呼ぶべきモノがそこにあると謂う解釈。もしくはその逆で、既に昔日の事でもあるのにも関わらずに、いまだに昨日の様な認識があると謂う解釈。簡単に謂ってしまえば、未だにうじうじしていると謂う様な。
結句「なつかしき」は形容詞シク活用連体形なので、上の様に体言を補って解すべきである。