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雨足を 追うかのごとく 逃ぐるひと 囚はれびとの 語るその夢
<読み>
あまあしを おうかのごとく にぐるひと とらわれびとの かたるそのゆめ
<意味>
雨足を追う様に逃げる人 [が登場する] 囚人の語るその夢には
<解説>
下句を読んで思い出すのは、映画『蜘蛛女のキス<画像:> (O Beijo da Mulher-Aranha)』 [原作:マヌエル・プイグ (Manuel Puig) エクトール・バベンコ (Hector Babenco) 監督作品 1985年制作] だ。その物語の殆どは、ある牢獄の囚人がもうひとりの囚人に問わず語りに語る夢で構成されている。
それと同様に、上句は「囚われびと」が語る夢の内容なのだろうか。そこに綴られているのは、逃亡者の叙景なのだ [と理解して<意味>では語句を補ってみた]。
だが、どうなのだろう。
詞書を前提にすれば、「逃ぐるひと」とは驟雨にあって雨宿りの場所を求めてはしるヒトと読めなくもない。その光景をみた作者こそが「囚われびと」なのだ。