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丑三つに 吾が胎のなかに もぐり込む 逢魔時に 遭ふたその狗
<読み>
うしみつに わがはらのなかに もぐりこみ おうまがときに おうたそのいぬ
<意味>
午前2時頃にわたしの胎内に潜り込む [のは] 夕暮れ時に遭遇したあの犬である。
<解説>
詞書を含めて、そこに綴られている文言を素直に読めば、日中に出逢ったある犬がその深夜に自身の胎内に入ったと謂う夢の描写である。
想い出すのは、釈迦 (Gautama Buddha) の誕生前に彼の母となる摩耶夫人 (Queen Māya Of Sakya) が観た夢の逸話である。彼女は、天からくだってきた六牙の白象 (The White Elephant) が自身の胎内に入った、そんな夢を観たと謂うのである。作者と摩耶夫人 (Queen Māya Of Sakya) を対等に看做す意味は全くないが、なにかの予兆として作者がそんな夢を体験したのであろう、と類推する事も難しくはない。
と、は謂うモノの、全く別の解釈がこの歌に成立しない訳ではない。だけど、ここではそれを指摘しないでおく。