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いまはまだ 黙して語らぬ そのひとの まゆ剃るをりの あひたそのくち
<読み>
いまはまだ もくしてかたらぬ そのひとの まみゆそるをりの あいたそのくち
<意味>
「今はまだ」と黙って語ろうとしないその人の、眉毛を剃る際のあいたそのひとの口 [の様だ]。
<解説>
なにについて語ろうとしないのかは、当然その人物でないから解らない。こちらは推測するだけである。
と、同時に、下の句の解釈もまた、ただ推測するしかない。つまり述部がこの歌にはないのである。
おそらく、その口許は中途半端にあけられているのだろう。しかし、こちらの問いに関しては一切、口を閉ざしている。その矛盾、と謂うか、それに対する作者のちょっとした憤慨、わだかまりの様なモノがこの歌にあるのではないだろうか。
尤も、詞書にある様に、その人物との関係は決して薄いモノではないのだ。だから、なおさら、とも謂えるし、それ故に、その口はかたい、とも謂う事が出来よう。