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居ぬひとに 抱かれ哭ひた その胸の 春のあを空 気ばかり晴れぬ
<読み>
いぬひとに いだかれないた そのむねの はるのあおぞら きばかりはれぬ
<意味>
居ない人に抱かれて泣いたその胸の [夢で] 新春の青空の下、気分がはれない [わたしである] 。
<解説>
昨年末は雨に降られる日が続いたが、年が明けると一転、晴天の日々となった。予報によれば、少なくともここ1週間はこんな天気が続くと謂う。だけれども、作者の内心だけはすっきりしない。まるで昨年の雨天〜曇天が続いている様なのだ。何故ならば ... 、と謂う歌である。
初句「居ぬ人」は、ア行上一段活用未然形「い」 + 打消の助動詞「ず」連体形 + 名詞「人」であり、意味は"いない"、"いぬ"と読む。
結句「晴れぬ」の「ぬ」も同様で、ラ行下二段活用「晴れる」未然形 + 打消の助動詞「ず」連体形、従って、<意味>に於ける様にそのあとに体言を補って解釈する必要がある。
"いない人"の解釈は如何様にも出来よう。少なくとも、"今はここにいない"、即ち不在であるのは確実ではあるが、それを非在と解釈するや否やは、意見が別れるところではあろう。
そして、何故「居ぬ人」に抱かれ得るのか、そしてその胸で泣けるのか、その理由は詞書にある。つまり、夢の中の叙景なのだ。