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めのまへの そのひとのみを みつめたるに もとめてゐるのは もうひとりのひと
<読み>
めのまえの そのひとのみを みつめたるに もとめているのは もうひとりのひと
<意味>
眼前にいるそのひとをみつめてはいるものの、わたしが望んでいるのは、もうひとりの別の人物である。
<解説>
別に書かなくてもいいよね?
と、謂う訳にもいかないので、文法的な事柄だけを述べておく。と、謂っても、然程、解釈に支障をきたす様な難解なモノもない。
第3句「みつめたるに」の「に」に関してだ。
助詞の"に"には、格助詞"に"と接続助詞"に"のふたつがあるが、ここに登場しているのは後者。逆説条件を示す。見極めるにはその助詞の接続をみれば良い。前者は体言に、後者は活用語連体形に接続する。しかし、これが絶対とは謂い切れない。結局、解釈してみて、その際の"に"の示している意味から考えるのが、最も順当な手段であると思われる。
この歌の場合の"に"は上句全体を受けていると思われるので、上句と下句の関係性を考えれば良い。確実なのは、格助詞"に"としての訳、接続助詞"に"としての訳 [接続助詞"に"には、逆説条件の他に順説条件の場合があるから、ふたつの訳を用意する] をつくって、歌全体の意味がきちんと違和感なく把握出来るモノを選択すれば良い。