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きのふより たれもゐぬにも 陽ののぼる みとるものなく うせて逝くみち
<読み>
きのうより だれもいぬにも ひののぼる みとるものなく うせてゆくみち
<意味>
昨日から誰もいない場所にも陽が昇る。 [その喪失を] みとる者もなく消え果ててゆく道 [がある]。
<解説>
第2句「ゐぬにも」は、ワ行上一段動詞「ゐる」未然形 + 打消の助動詞「ず」連体形 + 場所を顕す格助詞「に」 + 係助詞「も」である。よって、「ゐぬ」の後には体言が省略されていると解す。また、係助詞「も」がある事によって係り結びの法則が機能し、それが接続する用言である第3句「のぼる」は、ラ行四段動詞「のぼる」連体形となる。
初句「きのうより」は、第2句「いぬにも」の修飾語であるが、文法的には、第3句「のぼる」を修飾すると解する事も不可能ではない。と、なると「きのう」以前はその場所には「陽」が昇らない事となるが、果たしてそれは、どんな光景であろうか。