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媼いふ もひとつひとつと はなの墜つ そのよのときも 予兆なりしと
<読み>
おうないう もひとつひとつと はなのおつ そのよのときも よちょうなりしと
<意味>
老婆が謂う。ひとつもうひとつと花が墜ちる。その時代もそれが予兆であった、と。
<解説>
第4句「そのよ」は、"その夜"とも"その代"とも読める。掛詞であるのだろう。
ある夜に、もしくはある時に、花がひとつひとつ墜ちていく [その様は散ると謂うモノとはすこし違うのであろう]。それは今、眼前にみられる光景であると同時に、かつてそれと同様の光景を目撃したのである。「媼」が語るのは、そう謂う内容である。
では、「予兆」とはなんなのか。そして、その当時とおなじ事が今また繰り返されるのか。
不穏な歌ではある。