追悼:伊福部昭[075)映画もみる]
(2006-02-10 03:57:16) by =oyo=


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毎週土曜日の21時台に伊福部マーチが全国の家庭のTV画面を彩っている。
日立 世界ふしぎ発見』(TBS系列)枠で放送されている黒澤明組の撮影シーンを流用したCM『 「つくろう。」キャンペーン 宣言篇』、その全編に流れているのが、伊福部昭による「宇宙大戦争マーチ」である。
黒澤伊福部、二人のAKIRAを結びつけるものがなんなのかは、ここでは書けないけれども、ある意味での東宝の表と裏である事は間違いない。二人の間に、本多猪四郎を置いてみると二人のAKIRA鏡像関係が観えてくる筈。

初めて体験した故人の作品は『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)<画像:>』(1965)。以来、映画館のスクリーンやブラウン管(それは夏休みの特番だった場合もあるし、雨天野球放送中止の場合もあった)や井上誠によるリメイク作品の場合もあるし、夢の中で魘されて観る時もあった。
僕の幼児〜少年時代の遊び場は、山や川や海ではもちろんなくて、藤子不二夫作品の少年達の様な土管の並ぶ空地ですらなかった。パチンコ屋やゲームセンター(それは現在のものと全然違うもっといかがわしい処)や本屋やおもちゃ屋や駄菓子屋、そして映画館。
赤い絨毯は敷かれているけれどもそれは薄汚れているし、モギリの小母ちゃんは膏薬の匂いがするし、待ち合わせのソファはバネが飛び出しかかっているし、なんだか辺り一面小便臭い。
そんなロビーの隅っこにある売店で、油ぎったドーナツか湿っけたポップコーンに、バヤリースのオレンヂジュースをあてがわれて観た、伊福部昭作品の数々。
暗い闇の底の様なシートに身を沈めて観た、破壊と混乱と炎の乱舞と吹き荒れる嵐、未だ観ぬ絶海の孤島に未知の生命の息吹き。そしていつも訪れるのは祀ろわぬ怪獣達の悲劇的な最期。

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