なぜあの時、わたしは再び図書館へと彼を誘ったのか、今となってはとっくの昔。その時のわたしの心の動きを想い起こす事は出来ない。
青空に浮かぶ「くろくて、きょだいな、ふていけいの、ぶよぶよとした」そいつを捜しに行くのならば、あの夜明けの新宿でも良かった筈だ。
きっと、わたしはばるんがは捜してはいなかった。わたしは、ここに連れて来た彼の心の動きを捜し出そうとしていたのだろう。それが図書館で見つかるとは想ってはいない。忘れ物を想い出す為には、忘れ物に気がついたその場所に戻る必要がある、そんなつまらない思いつきからだろう。
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