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ふと唄ふ たつたひとつの 戀のうた わがみと憶ふも ゆくりなきこと
<読み>
ふとうとう たったひとつの こいのうた わがみとおもうも ゆくりなきこと
<意味>
ふと想いたって唄うのは、たったひとつの恋の歌である。それを自分自身の事と思うのは思いもかけない事である。
<解説>
結句「ゆくりなきこと」の語幹"ゆくりなし"には、幾つか異なる意味がある。ここでは辞書的には第一義の意味を採用したが、詞書に顕れている語句"軽はずみ"である、と謂う意味もある。そちらの解釈を採用しなかったのは、歌にある筈の<意味>の多様性に、可能性をもたせたかったからである。さらに謂えば、そちらの解釈に基づけば、歌の主題は、心理学で謂うところの心理学 (Psychologie) で謂うところの取り入れ (Introjektion) である。ちなみに、逆の意味、行為は投影 (Projektion) である。
猶、「たつたひとつの 戀のうた」は自身のこれまでの体験を意味にも、自身が好きな唯一のラヴ・ソング (Love Song) と謂う意味にも、ある歌い手の作中にある唯一のラヴ・ソング (Love Song) と謂う意味にも、解釈は可能だろう。