もともとは10人の映像作家によるオムニバス映画『アリア』に提供した短編。
この映画は、各々が有名無名のオペラ作品の中から己の嗜好でアリア(=独唱曲)を選曲。それを自身の自由な解釈で映像化するというのが企画趣旨です。
原曲のモチーフや歌詞を忠実に映像化する作家もあれば、現代劇にシニカルにシュミレートする作家もあれば、全く独自の世界観を提示するための動機として起用する作家もあれば、単なるバックグラウンドの音響としてのみの使用に留まる作家もあるという正に十人十色の作風が揃った。結果、個々の作家のサンプル作品としても、各々の「映像と音楽とのポジショニング」を図る事もできるという作品。また、作品を観る側にとっても、その映像観や音楽観の試金石となる事受けあいの好企画。1987年の作品。
我がケン・ラッセル(Ken Russell)は、プッチーニの遺作『トゥーランドット』から「誰も寝てはならぬ<画像:>」をフィーチャーする。
自動車事故で生死の境を幽行する女性が体験する臨死体験を、幻想的に、ケン・ラッセル(Ken Russell)ならではのキッチュで禍々しき美意識で描く。彼女が夢幻の地を旅している間、一昼夜に渡る蘇生回復手術が施されて、彼女自身も医療スタッフも”誰も寝てはならぬ”というのが、このアリアがフィーチュアされた由。
トリノオリンピックのフィギュアスケート女子フリーで荒川静香が、この曲を使用したので、久しぶりに観たくなりました。