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棘さして 蛇口のみづの ほとばしる 紅よりあかく 濡れてひかる
<読み>
とげさして じゃぐちのみずの ほとばしる べによりあかく ぬれてひかる
<意味>
棘がさして [その傷口を洗浄すると] 蛇口からでた水が [傷口に] 迸る。 [その傷口は] 口紅よりもあかく濡れて光っている。
<解説>
歌に綴られてある描写の解釈は然程、難しくない。読んで字の如く、とでも謂いたい内容である。
ただ、深読みしようとすると、いくらでも可能ではある。ひとつは、詞書との時差。歌の内容はそこにある語句よりも前に起こった事件 [と謂う程の大袈裟なモノではないが] である。と、謂う事は歌に綴られてある事件は、作者が実際に観た光景であるよりも、想像の域にある可能性がある。
勿論、この事件が作者自身の体験ではない、と過程して、だ。仮にそうだとしても、それは実体験ではあるモノの、時差が存する事には変わりない。傷の手当を終えて、その時を回想しているのであろう。
そして、その膝の持ち主が、作者ではないと仮定すると、膝の手当てがみえる年齢もしくは世代と謂うモノが自ずと限定されるのではないか、と思える事である。
と、すると、この歌自体がひとつの暗喩 (Metaphor) であると理解する事も出来よう。