<画像:20210506.jpg>
みたびみても あかのた人ぞ あのひとも 宵ゐの祭りの ひととせののち
<読み>
みたびみても あかのたにんぞ あのひとも よいのまつりの ひととせののち
<意味>
3度みかけても、赤の他人だ、あの人も、夕刻の祭りから1年後である。
<解説>
「あのひと」は、かつての友人もしくは恋人なのであろう。それが最近になって、その人物と遭遇する事が三度あった [恐らくそれはみかけたと謂う程度の事だろう、先方はその認識すらないのかもしれない]。だから、それをきっかけにかつての交際がふたたび開始されるのではないか、と作者は想う。想うが故に、おのれに謂い聞かせる。もう二度とそれが再演される事はないのだ、と。そして思い返す。別れたのは、もしくは遠のいたその時季とその次第を。
気になるのは、第3句にある「も」と謂う語句で、言外にその人物ばかりではない、と謂うニュアンスがある事である。
その「も」も第2句にある「ぞ」も共に係助詞である。さらに謂えば、後者は後に続くべき用言に対しては、係結びの法則が働き、連体形となる [では省略されていると看做される用言には、どの様な語句が相応しいのか]。