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1980年代の時代閉息感に満ちているが故に、新しい音楽やカルチャーを胎動させた西ベルリンの事を書く前に、1970年代 ロンドンのゴージャスなポップカルチャーを演出した音楽作品の事を書く(だから、西ベルリンは宿題とさせて頂きます)。
先ずは、いつもの様に、奇妙なジャケットの話から。
猿轡を噛まされ手足を縛られた男が二人、モーターボートに投げ込まれていずこかへ連れ去られる...という、全くもって不可解極まりないセンスを大爆発させているのが、本編の主人公、スパークス(SPARKS)である。そして、正に誘拐?されつつあるジャケットの二人、これがその中心人物、というよりもほぼ等号で結ばれるのがメイル兄弟。下の写真、左側が弟のラッセル・メイル(Russell Mael)、右側が兄のロン・メイル(Ron Mael)である。
この作品はほぼリアルタイムで聴いた。中学の先輩が持っていた。その音楽以前に、このジャケットの持ついかがわしさ、危うさが、妙に印象に残った。
そして、当然のごとくに無理矢理その先輩から聴かされる訳だけれども、その雑多な音楽性は当時は受け付けなかった様な気がする。そこで聴けるのは、ロックカルチャー誕生以前のありとあらゆる音楽、バーレスクミュージックだったり、オフブロードウェイだったり、ボードヴィリアン・ミュージックだったり、オペレッタだったり、それらが渾然一体となって、独自の音楽性を展開していたのだ。