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まどのそと 冬よぶ聲は こもり唄 鴉のなゐた のちに燭び
<読み>
まどのそと ふゆよぶこえは こもりうた からすのないた のちにともしび
<意味>
窓の外から冬を呼ぶ声の様に子守唄が聴こえる。鴉がないて [一緒に帰った] その後に灯り [がつく]。
<解説>
第4句「鴉のなゐた」は、童謡『夕焼け小焼け (Yuyake Koyake : Sunset)』 [作詞:中村雨紅 (Uko Nakamura) 作曲:草川信 (Shin Kusakawa) 1919年作詞 1923年作曲 『文化楽譜 あたらしい童謡・その一』掲載] からの引用。
室内は灯りがつけられ、そしてこの季節だから暖房が入れられているが、その外の叙景は寒々としたモノがある。その対比。
子守唄 (Lullaby) は本来ならば、幼児を寝かしつける為の優しさ、ぬくもりが込められているモノだが、この歌では義逆に、寄る辺なき彼等 [唄うモノと唄われるモノ] の身がつまされて、肌寒さを感じる。
もしかしたら、そこにはその唄を聴くべき幼児は不在なのかもしれない。自身の記憶の底からその唄が甦って思わず口遊んでしまった、そんな印象もないではない [だって脳裏に浮かぶのはあまりにも昭和 (Showa) 的な光景であって現実的ではないんだから]。