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さじなれど かつての君に 逢ひにゆく 尋ねかたきは そのひとのゆくへ
<読み>
さじなれど かつてのきみに あいにゆく たずねがたきは そのひとのゆくえ
<意味>
些事ではあるけれども、かつての恋人に逢いに行く。尋ね辛いのは、その人の行方である。
<解説>
作者を含め、この歌には3人の人物が登場する。第2句「きみ」、結句「そのひと」、そして作者である。
前者は恐らく、 [昔の] 恋人であろうと、解釈してみた。そう解釈すれば、後者は [現在の] 恋人であるのかもしれない。恋人ではなくとも、現在の作者にとっては必須の人物なのであろう。
だとすると、興味深くなるのは、第2句「きみ」と結句「そのひと」との関係である。後者に関して前者を訪問しなければならないのだから、少なくともこのふたりは旧知の関係でなければならない。そして、そのふたりが作者と密接な関係を築いていた / いるのだから。
なかなか面倒な話ではある。
そう考えると初句「些事」と謂う語句は、その後に綴られている事柄と齟齬を来している様にも思える。
もしかしたら、敢えて作者が自身にそう言い聞かせているのかもしれない。