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ひとり寝の 冬はつとめて ゆめの夢 みちゆくわらはら 口くちにゆき
<読み>
ひとりねの ふゆはつとめて ゆめのゆめ みちゆくわらわら くちぐちにゆき
<意味>
ひとりで寝る冬の早朝は夢の中の夢にある。 [その一方で] 登校する子供達がくちぐちに雪! [と姦しい]。
<解説>
今日は終日、雪。明日の午前中まで続くそうだ。雪に脆弱な都会での混乱や騒動はいつもの事だ。
第2句「冬はつとめて」はそのまま素直に解釈すると、上の<意味>の通りになる。だが、誰もが知る様に、この一節は随筆『『枕草子 (The Pillow Book)』 [清少納言 (Sei Shonagon ) 著 1001年頃成立]の第1段に登場する「冬はつとめて / In Winter, The Early Morning」で始まる一節である。筆者が四季それぞれの叙景の中で、尤も「をかし (Lovely)」と思える光景を抜書きにした箇所である。そして、冬は早朝が最も趣きがあると綴るのだ。そこにあるのは冬の宮中、そこに勤める女官達の行動である。
だから、この歌はそんな彼女達の行為とは真逆の自身を描写したモノと解釈出来る。
そして勿論、そこに綴られてある女官達の艶やかでかつ静かな行動は、下句にある第4句「わらはら」の騒々しさと対比されているのである。
一方で、第2句「つとめて」を"勤めて"と誤読すれば、登校する子供達と作者との対比が成立し、そこにそれはまた新たなる解釈が産まれる可能性がないではない。