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あの街の かつてのきみと 夢に遭ふ すぎ去りし日は 春ただなかの
<読み>
あのまちの かつてのきみと ゆめにあう すぎさりしひは はるただなかの
<意味>
あの街のかつてのあなたと夢の中で遭う。過ぎ去った日々は春真っ只中の [ものである]。
<解説>
初句「あの街」とある事によって距離的もしくは空間的な隔たりが存在している。
第2句「かつて」で時間的な隔たりがある事も解る。第2句「きみ」と共にあった際から、二重の隔たりがそこにある。それを受けての第4句「過ぎ去りし日」なのである。では、結句「春ただなか」はいつなのか。第2句「きみ」と共にあった際なのか、それとも詞書にある現在なのか。
その結果、結句の後の解釈に悩む事となる。そこにあるべき用言が省略されているからだ。上句と下句が倒置関係にあると解釈出来ない事はないが、なんとなく落ち着きが悪い [ただ少なくともこの解釈に準ずれば、結句は当時を詠んだモノとなりそうだ]。
<意味>では、最も無難な語句を選んでみたが、これは必ずしも正解ではない。如何様にも読めるのだ。