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かれのゆく 星を眼かに ふるさとは いまだみ果つぬ をん國へのゆめ
<読み>
かれのいく ほしをがんかに ふるさとは いまだみはつぬ おんごくへのゆめ
<意味>
彼がいく星を眼下に眺めて故郷 [をおもう。その一方で] 未だ見果てないのは遥か遠くの国へ向かう夢である。
<解説>
初句「かれのゆく」は、"彼の行く"なのか、"彼の征く"なのか、はたまた"彼の逝く"なのか、それによって歌の解釈は随分と異なってしまう。
詞書がある事によって、第2句「星を眼下に」と謂う叙景が明らかとなる。現実に、その様な光景に遭遇する事が可能なのは、少なくとも現時点では極めて特殊な場所、もしくは地位に就かねばならないのだから。
第3句と結句を読み比べる事によって、作者もしくは歌の主人公の心象がふたつに引き裂かれている事が解る。そして、その心象をもたらしたモノこそが、初句「かれのゆく」なのであろう。