映画ヲ詠メル[040)るいの歌集(仮)]
(2022-05-19 17:21:58) by =oyo=


<画像:20220519.jpg>
死でのたびに うつろな瞳で みつめし児 つちくれのなか いまかへりなむ

るい詠める

<読み>
しでのたびに うつろなひとみで みつめしこ つちくれのなか いまかえりなむ

<意味>
亡くなる際に、虚無の瞳でみつめていた子供よ、土中の中から今こそ帰ってこよう。
亡くなる際に、虚無の瞳でみつめていた子供は、土中の中から今、きっと帰ってくるだろう。

<解説>
上の<意味>が2例あるのは、次の理由による。
結句「いまかへりなむ」の、「なむ」の解釈である。
結句は、名詞 "いま" + ラ行四段動詞 "かへる" 連用形 + 完了助動詞 "ぬ" + 助動詞 "む" 終止形である。この最後の "む" が、"意志の強調" と解釈した場合 [<意味>上段] と、"推量の強調" と解釈した場合 [<意味>下段] の可能性があるからである [こちらを参照の事]。と、謂うのは第3句「みつめし児」をこの歌の、主語と解釈する場合 [<意味>上段] と、目的語 [「みつめし児」への呼びかけ] と解釈する場合 [<意味>下段] があり得そうだからなのだ。
猶、結句が "かへらなむ" ならば、そこにあるラ行四段動詞 "かへる" は未然形となり、その結果、願望終助詞 "なむ" への接続となり、"帰って欲しい"と解釈する事になる。
同じく、結句が "かへるなむ" ならば、そこにあるラ行四段動詞 "かへる" は連体形となり、その結果、強調係助詞 "なむ" への接続となり、"きっと帰る"と解釈する事になる。そして、係り結びの法則によって、省略されてここには顕れていない文末の用言は、連体形となる。

(この項:たい)


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